VOICE

名古屋工業大学

学長 小畑 誠
 
芸術は特別なものではない

工科系の単科大学である本学がどうして芸術大学と提携してキャンパス内にアートを呼び込もうとしたか、それは芸術が人間の活動そのものでありすぐれて創造的なものだからです。

芸術活動はおそらく遺伝子に組み込まれた根源的な人間の精神的活動です。そうでなければ何万年も前の石器時代の遺跡に見事な壁画や工芸品が見つかることの説明がつきません。食べるための狩りや採集の時間を割いてまでしてそのような作業に打ち込んだ彼らが生存競争を生き抜いてきたのです。自然に対し本能的に秩序を探しそれを敷衍することにより生存競争において優位にたったのではないでしょうか。芸術は洗練された秩序の創造であり、理学・工学は自然から法則として秩序を見出し、それを利用してきたのです。根源的な精神的活動である芸術を感じることなく新しい考えを創出し、あるいは考えを飛躍させることが難しいと思うのはそのためです。

芸術は特別なものではありません。わたしたちは「ARTFUL CAMPUS」を続けていきます。みなさんがなぜ工科系の名古屋工業大学のキャンパスにアートがあるのかではなく、なぜなかったのかと思う日が来ることを信じて。

愛知県立芸術大学

学長 白河 宗利
 
「芸術の力」とは何か?

「芸術の力」は目に見えませんし、数値化することも難しいはずで、社会の中でどのように役立っているのかも明確には言いきれません。
それでも人間は、優れた美術や音楽に出会った時に新しい価値を感じとり、心や体を突き動かします。

違う角度から「芸術の力」を鑑みると、「ノーベル賞受賞者の多くが芸術を嗜んでいた」というデータがあるそうで、工学分野の革新的な発明の裏には「芸術の力」が何らかの影響を与えていたことも事実です。
「ARTFUL CANPUS」での連携は、両大学の考える「芸術の力」の「何らかの影響」を信じて進めています。また、工学系大学と芸術大学の融合の可能性を探る画期的な試みであり、名工大のキャンパス計画である「心で工学」にも合致するものです。

アート作品やその発想が、高度な工学系大学の研究者や学生にどのように影響を与えていくのかは未知数ともいえますが、名工大のキャンパスという場が、美術館に行かなくても心の豊かさや新しい発想を生むきっかけとなるはずです。

ご寄付のお願い

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 学生・教職員の”心の豊かさ”を育むための環境を整備することを支援します。
 
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